パーソナルコンピュータ

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  • パーソナルコンピュータ
  • パーソナルコンピューター
ノートパソコン。(近年ではパーソナルコンピュータの販売の9割超がノート型である[1]

パーソナルコンピュータ: personal computer)は、個人によって占有されて使用されるコンピュータのことである。

略称はパソコン[注釈 1]またはPC(ピーシー)[注釈 2]。 

概要[編集]

パーソナルコンピュータ(PC)は、個人で使用するコンピュータである[2]。アメリカの辞書Merriam-Websterでは「個人が汎用目的で使うための、マイクロプロセッサを備え、一般的なソフトウェア(ワープロソフトやブラウザなど)を動かすために設計されたコンピュータ[3]」といった定義文を掲載している。

パーソナルコンピュータが登場する以前、コンピュータといえば大型で、かつ高価だった[2]。購入や運用に巨額の費用が必要なので、それらは大企業や大学や研究所などが所有し、1台を、それら組織に所属する人々が共同で使用していた(タイムシェアリングシステム)。この時代、個人が自分のためだけに購入して占有して使えるようなコンピュータは存在しなかった。だが1971年にアメリカのインテルがマイクロプロセッサの開発に成功したことで、コンピュータを小型化および低価格化する道が開け、個人所有する可能性が開かれた[2]

PCをサイズや形状に焦点を当てて分類する場合、ノートPC(ラップトップPC)、デスクトップPCタブレットPCなどに分類できる。

なお2020年現在のパーソナルコンピュータは、ほぼ全てインターネットに接続できるような構成・設定になっている。

パーソナルコンピュータで使用される頻度が高いアプリケーションソフトウェアとしては、ウェブブラウザワープロソフト表計算ソフトデータベースプレゼンテーションソフトウェアメディアプレーヤーペイントソフト写真編集ソフト、ゲームソフトなどを挙げることができる。(なお近年ではe-mailのPCでのやりとりも、gmailなどのwebメールをつかうということがかなり広く行われている。その結果ネット検索だけでなくe-mailの閲覧・送受信時にも、ソフトウェアとしてはウェブブラウザが使われていることが増えている。)

なお日本では、1980年代までは日本語表示のために日本独自のアーキテクチャのパーソナルコンピュータが主流であったが、1995年Windows95の発売から1年ほどの間に、日本でもPC/AT互換機のシェアが50%を超え、数年のうちに日本独自のアーキテクチャの販売はほぼ消滅し、以降は世界と同様にPC/AT互換機が一般的になり、残りのシェアをMacが占めるという状況になった。

名称

「パーソナルコンピュータ」という用語は、1972年アラン・ケイACM National Conferenceで発表した"A Personal Computer for Children of All Ages"の中で使用された。ここでは「個人のための理想のコンピュータ」という意味であり、それを「ダイナブック」と命名した。

最初の実際に市販されたパーソナルコンピュータはAltair 8800だと現在では一般的に言われており、これは1974年にインテルの8bitマイクロプロセッサ8080CPUに用いて登場したものである。ただし1970年代後半までは、CPUにマイクロプロセッサを採用したコンピュータは、英語圏では主に「micro computer」などと呼ばれることが多く(たとえば1977年発売のTRS-80も名称は「TRS-80 Micro Computer System」であり)、あるいは「home computer」という呼称も好まれた。日本で1970年代後半は、英語のmicro computerをカタカナに直訳した「マイクロコンピュータ」が堅い記事などでは好まれ、日常的には短縮形の「マイコン」が好まれた。だがパーソナルコンピュータという用語も1977年ころから一部の機種についても使われており、アメリカでは1977年発売のApple IIの広告類で、日本では1979年発表・発売のPC-8000シリーズを指して日本電気が使うようになっており(この「PC-8000」の2文字「PC」は「Personal Computer」の頭文字)、世界的に見て一番決定的だったのは当時「コンピュータ業界の巨人」と言われ絶大なブランド力をもっていたIBMが1981年に発売し大きな市場占有率を占めるようになったIBM PCの影響である。「IBM PC」は通称で、発売当時の品名は「IBM Personal Computer」であり、雑誌広告や取扱説明書などでも繰り返し大きく使用され、購入したユーザたちもパーソナルコンピュータという用語に慣れ、この表現が一般化するのを後押しし、パーソナルコンピュータという用語・概念が世界中でしっかり定着してゆくことになった。(なお日本国内では用語を4文字(4音節)に短縮することが好まれるので「パソコン」と呼ばれるようになり、「パソコン」が定着すると、あとは「ホビーパソコン」「ノートパソコン」「パソコン教室」のような、他の語と「パソコン」を組み合わせた造語も次々と行われるようになった。)

歴史[編集]

1970年代 8ビット時代 パーソナルコンピュータの出現[編集]

1974年に登場したマイクロプロセッサにより、個人でも所有可能な小型で低価格なコンピュータが実現可能になった。

当初のワンボードマイコンのキットは、技術者向けの評価キットおよびトレーニングキットで、入出力にはテレタイプ端末等に代表される、従来のコンピュータに用いられた巨大で扱いに手こずる入出力端末を接続する必要があった。また、その接続作業においても専門的知識を必要とし、一般的なものではなかった。一方、電子回路に詳しいアマチュアが部品を集めてコンピュータを自作し、個人で使用することもあった。また、いわゆるミニコンピュータを個人で所有する者もいた[4]

最初のパーソナルコンピュータとされることが多いAltair 88001974年の末に生まれる。完成させると「箱にランプとスイッチ」というミニコンスタイルのコンピュータができあがるキットはそれ以前からあったにはあったが、Altairが初の安価なヒット製品であった。それ以降2-3年ほどの間で、Apple IのようにCRTディスプレイやキーボードを接続するよう設計されているものなど、入出力が工夫された多数のマイコンキットが現れた。

Commodore PET。1977年10月
Apple II とモデム

1977年コモドールAppleタンディ・ラジオシャックの各社から相次いで、本体がプラスチックケースにきれいに収められBASICインタプリタを内蔵し、オールインワンの完成品で出荷される、今日のパーソナルコンピュータの原型と言える型のコンピュータが登場する。これらはCRTディスプレイ、キーボード、そして外部記憶装置やプリンターのインターフェイスを一通り備えており、ディスプレイに接続して電源プラグをコンセントに差し込みさえすれば動作するものであった。中でもApple II表計算ソフト VisiCalcキラーアプリケーションとなり大成功した。Apple IIは標準でカラー画像出力や音声出力に対応しており、パソコンゲームのプラットフォームとしても人気を博した。

日本でも1970年代後半に、外国製や日本製のワンボードマイコンのキットが販売された。たいていは16進キーボードと8桁の7セグメント表示を備えており、組み立てるには最低限、簡単なハンダ付け工作の技術は必要であったものの、完全に完成させれば、単体で簡単なプログラミングが楽しめるものであった。特に1976年に発売されたTK-80は、その中でも有名であり、この頃になってくると電子工作の知見も広がっていたので、購入者が独自の回路を組み込んだりして様々な機能を実現したり、自作のケースに組み込んだりすることも流行った。

日本でもアメリカに続いて、上記に掲げた形態の完成品が販売されるようになった。初期の製品のいくつかは、マイコンと称されるかパソコンと称されるか曖昧であり、まず1978年に発売されたベーシックマスターMB-6880が現在のパソコンとされる形状およびシステム構成をとる姿で発売された。よく1979年のPC-8001(PC-8000シリーズ)が日本初のパソコンとされるが、実際は後でメーカー側の呼称により定義されたもので、(詳細は8ビットパソコンパソコン御三家ホビーパソコン等を参照)それより以前に発売されたHITAC10もメーカー側より「パーソナルコンピュータ」として発売されたが、実際はパーソナルコンピュータ(個人用途のコンピュータ)ではなく業務用コンピュータである。

1980年代 16ビット時代 オフィスへの普及[編集]

IBM PC(IBM 5150)

1981年16ビットIBM PCが登場して世界的にベストセラーとなり、IBM PCで採用されたインテルのx86系のCPUとマイクロソフトMS-DOSが主流(事実上の標準)となった。更にコンパックなどによりIBM PC互換機市場が形成され、「パーソナルコンピュータ」の名称が一般化した。表計算ソフトはLotus 1-2-3ワープロソフトWordPerfect(日本では一太郎)が普及した。

1984年に登場したMacintoshグラフィカルユーザーインターフェイスの概念を大きく普及させることに成功し、後のコンピュータに絶大な影響をもたらした。1985年にはMacintosh向けにMicrosoft Excelが登場し、そのインターフェイスは後のWindowsアプリケーションの原型となった。

しかし日本では「日本語表示の壁」もあり各社独自の日本語仕様が続き、異なったメーカー間ではアプリケーションソフトウェア互換性はほとんど無かった。16ビット市場では1982年NECPC-9800シリーズがトップシェアを続け、他には富士通FMシリーズFM TOWNSセイコーエプソンのPC-9800互換機、個人向けに絞ったシャープのX68000、PC/AT互換機ベースのAX協議会のAX、日本語表示用に高解像度を標準採用した日本IBMマルチステーション5550などが競った。一方、IBM互換機の独自拡張であるDynaBookは場所を決めずにいつでもどこでも利用できるノートパソコンを大きく広めるものとなった[5][6]。また、より手軽に入手・使用できる廉価機として8ビットのMSX規格がホビーパソコンとして一定の普及をとげた。

1990年代 32ビット時代 パソコンのネット端末化[編集]

DynaBook FV475 501TW

1990年代にはダウンサイジングの潮流もあり企業や個人へのパーソナルコンピュータの普及が進み、企業用のローエンドのサーバーPCサーバーが広く普及した。1990年代初頭まではAmigaコモドール64アルキメデスなどのホビーパソコンもなお一定のシェアを保っていたものの1990年代中盤以降の世界ではIBM PC互換機とMacintoshがパソコン市場の大多数を占めるようになった。

1991年にはWindows 3.01995年にはWindows 95が発売され、従来の「16ビット / DOS」から徐々に「32ビット / Windows」への移行が進んだ。一部の高機能指向のユーザーには従来のUNIXワークステーションに匹敵する機能を持つOS/2Windows NT、さらに高機能なOPENSTEPが使われ、パーソナルコンピュータでのPC-UNIXの利用も行われはじめた。

日本でも1990年DOS/Vの登場、Windowsの普及とともに世界と同じPC/AT互換機への移行が進んだ[7]。またアプリケーションソフトウェアの発達とパソコン本体の低価格化もあり、ワープロ専用機ユーザーもワープロソフトに移行していった。この過程でMicrosoft OfficeLotus 1-2-3などを駆逐してオフィススイートのデファクトスタンダードとなった[8]

1990年代末以降インターネットが急激に普及し、パーソナルコンピュータのウェブ端末としての利用が一般化した[9]1998年には「インターネットのための新世代のパーソナルコンピュータ」と銘打ったiMacが登場し社会現象となった。

1990年代にはWindowsやマルチメディアアプリケーションの普及による「スピード飢餓」を背景にマイクロプロセッサの高性能化が急激に進んだ。アウトオブオーダ実行スーパースカラなど従来スーパーコンピュータに使われていたような新技術が次々に投入され、1990年頃は16-20MHz程度だったパソコン用CPUのクロックは2000年には1GHzに達した。

2000年代 32〜64ビット時代 デジタルライフスタイルの中心に[編集]

ネットブック(Lenovo IdeaPad

2000年代にはノートパソコンが市場の主流になった。無線LANBluetoothによる無線接続も一般化し、パソコンの利用形態が多様化した。

2001年にはMacintoshのOSがOPENSTEPの技術を中心に作られたMac OS Xとなった。また同年にはWindows NTをベースとしたWindows XPが発売され、Windows NTとWindows 9x系の製品ラインの統合が行われた。

2003年には初の64ビットパソコンであるPower Mac G5(PowerPC 970を搭載)が発売され、続いてx86の64ビット拡張版であるAMD64 (x86-64) が登場した。OSはWindowsが依然主流だが、オープンソースGNU/Linuxなども一部で普及している。

2007年からは最低限の性能・機能で3〜5万円程度でも購入できるコンパクトなノートパソコンが普及し、後にネットブックと呼ばれるジャンルを形成した。

2010年代 スマートフォンとタブレット端末の台頭[編集]

Global Digital Divide1.png
日本のPC国内出荷台数(青線)と出荷額(赤線)(JEITA調べ)

CPUや液晶バックライトなどの低消費電力化を背景にノートパソコンの薄型化が進行し、またフラッシュメモリの大容量化やクラウドストレージの普及により、光学ドライブを搭載しない機種が主流となった。ハードディスクドライブからソリッドステートドライブへの移行が進んだ。一方で、パソコンの低価格化は円安やパーツ価格の高騰の影響で下げ止まった。

2010年AppleiPadiOS搭載)を発売した。以降、パソコンも個人用途ではタブレット端末に代替される傾向となり、2012年には日本国内のパソコン出荷数の減少が始まる。2013年にはWindows XPのサポート終了に伴う駆け込み需要で販売台数が増加したが、2014年からはそれがなくなり、パソコンの販売台数が急減[10]。2014年度にはパソコンの国内出荷が1000万台を割り込んだ[11]

2015年には世界トップメーカーのヒューレット・パッカードがパーソナルコンピュータ分野を分離し、HP Inc.が発足した。また、この年の最終出荷台数は中国のレノボが世界首位となり、初めてアメリカのメーカーから中国のメーカーに首位が移ることとなった。

ユーザーが各種アプリストアからアプリケーションをダウンロードしてインストールすることが可能なスマートフォンが普及し、HTML5/CSS3標準をサポートするブラウザが増えたことでウェブアプリケーションの高機能化が進み、さらにハードウェア性能も向上したことから、日常生活を送るうえでの手続きや娯楽などはスマートフォンやタブレットがあれば事足りるようになった[12]。そのため、家庭でPCを所有せず、PCを操作したことがない一般消費者も増えている。

しかし、スマートフォンやタブレット自体はサンドボックスにより強く制限されたエンドユーザー環境であり、タッチ操作には最適化されている一方でポインティングデバイスやキーボードによる入力には最適化されておらず、複雑かつ大規模なデータを扱う作業などには適していないこと、エンドユーザーによるハードウェアの増設・カスタマイズやオペレーティングシステムおよびデバイスドライバーなどの自由なインストールもできないこと、またネイティブアプリケーションソフトウェアの開発環境として使うこともできないことから、このような場面(特に業務用途)では依然としてPCやワークステーションが使われている。

種類[編集]

形状や大きさによる分類には以下がある。但し分類の基準やそれぞれの呼称は、メーカー、シリーズ、時期などによって異なる。

ノートパソコン(ラップトップ)[編集]

ノートパソコン(ヒューレット・パッカード)

パソコンの本体にキーボードと液晶ディスプレーが一体となった、ノートの形状・構造(※)をしたパソコン[13]

(※)具体的に言うと、ヒンジ機構を備え、開けたり閉めたりできる形状・構造のこと。

英語圏では「laptop computer」また単に「laptop」あるいは「notebook computer」と呼んでいる。lapは多義語であるが「上におおいかぶさるようなパネル[14]」のことである。 英語圏では「laptop computer」と「notebook computer」は基本的に同義である。上部が覆いかぶさるパネル状になっている、ということと、ノートのように開け閉めできる構造、ということは、ほぼ同義だからである。

日本では主に「ノートパソコン」や「ノートPC」や、単に「ノート[15][16]」と呼ばれている。日本国内の呼び方を列挙すると「ノートパソコン」「ノートPC」「ノート」「ノート型」などがある。

日本では「ラップトップが大きめでノートパソコンが小ぶり」などと解釈して区別していた時期があるが、英語圏では現在、そういう区別をしているわけではない。

世界共通ではないが、日本国内で独自に細分化していた「ラップトップパソコン」という分類法についてはラップトップパソコンを参照。

ネットブック[編集]

ノートブックのうち特に小型・軽量・低価格で、性能や拡張性を割り切ったもの。

タブレットPC[編集]

回転・着脱可能なキーボードを備えたタブレットPC(ヒューレット・パッカード)

ノートPCとタブレット端末の中間の性質を持つ製品群。オペレーティングシステムはモバイル向けではなくPC向けのものを利用する。Microsoft Surfaceなども含まれる。

タブレット[編集]

液晶ディスプレイタブレットとなっており、ペンで文字入力やポインティングを行えるもの。

デスクトップ型[編集]

デスクトップ型(デル OptiPlex)

机の上に置く形状・重さのもの。近年では企業のオフィスでは社員ひとりひとりはノートパソコンを使うことが一般化したので、デスクトップ型は需要が激減した。

家庭用でも、かさばり移動しづらいデスクトップは不人気でほとんど売れない。3Dゲームばかりしているような人はGPUを搭載したゲーミングPCというタイプのものを選び5年ほど前までもっぱらデスクトップ型が選ばれていたが、最近ではゲーミングPCもノート型が高性能化してデスクトップである必要が減ってきているので、結局、ゲームの分野でもデスクトップは売れなくなりつつある。

デスクトップ型の中で縦(上下)に長い筺体に収めたものを特にタワー型(次節で説明)などと呼びわけることがある。パーソナルコンピュータの分類に関する記事や資料ではデスクトップ型の下位分類(さらに細分化した分類)としてタワー型が扱われていることが一般的である。

タワー型[編集]

形状により更にミニタワー、ミドルタワー、フルタワー、更にはマイクロタワー、スーパータワー、スリムタワーなどに分けられる。フルタワーやミニタワーはメンテナンス性に優れ内部拡張性が高いものが多い。

スティック型[編集]

USBメモリに似たスティック状の形状に省電力CPUとメモリ、ストレージにeMMCを搭載した超小型パソコン。たいていのモデルはHDMI端子を備えており、液晶ディスプレイに接続して使用する。非常に小さいため持ち運びがしやすい。バッテリーは内蔵しない。消費電力が小さいためモバイルバッテリーの給電でも動作する場合がある。

車載型[編集]

自動車鉄道車両に搭載して使用するもの。 主に路線バスの停留所案内装置や鉄道車両のトレインチャンネルや自動放送などに使用されている。走行中の振動への対策として、ストレージにはフラッシュメモリが用いられることが多い。

その他[編集]

ウェアラブル[編集]

時計型や頭部に装着するなど、身体に装着して使用するもの。

PDA[編集]

手のひらに入るサイズのもので、パームサイズやハンドヘルドとも呼ばれる。通常はパーソナルコンピュータとは別のカテゴリとされる。Pocket PCなど。

スマートフォン[編集]

PDAに携帯電話機能をプラスし、さらにインターネット接続機能を持たせたもの。

ワークステーション[編集]

主に用途による分類で、CADなどの画像処理、ディーリングなどの金融端末、大型コンピュータとの連携機能を持つ端末など比較的高性能のクライアントが多い。

サーバ[編集]

主に用途による分類で、パーソナルコンピュータのアーキテクチャをベースとしながら、業務用(代表例は24時間365日連続稼働など)に耐え得る信頼性を実現する拡張が行われている。形状はタワー型やラックマウント型が多い。

ハードウェア[編集]

典型的なパーソナルコンピュータは、以下のハードウェアから構成される。一般的なデスクトップパソコンの例で説明するが、ノートパソコンでは一体化されている場合が多いものの各構成要素の基本機能は同じである。

本体[編集]

CPU[編集]

コンピュータの頭脳に当たる部品。中央処理装置。汎用のマイクロプロセッサ(MPU)が使われる。プロセッサは、世代、メーカーごとにソケット規格が異なる。


メインメモリ[編集]

CPUの作業場所に当たる揮発性の記憶装置。実行中のプログラムや、CPUが操作中のデータが格納される。電源を切ると記憶内容は消えるため、各種設定やユーザードキュメントなどはファイルとして補助記憶装置(ハードディスクドライブなど)に保管しておく。コンピュータグラフィックスなどの画像処理、特に動画処理などではより多くの容量が必要とされる。搭載可能なメモリモジュールの規格や容量はマザーボードに左右される。また、認識・使用可能なメモリの上限はOSに左右される。

専用VRAMを持たないオンボードグラフィックスやCPU内蔵GPUは、メインメモリの一部をVRAMとして利用する。

外部記憶装置[編集]

オペレーティングシステムを含む各種のソフトウェアデータの格納場所(ストレージ)として使われる。不揮発性で、大容量であるが書き込み速度がメインメモリのそれと比べて圧倒的に落ちるため、スワップファイルとしてメインメモリの代わりに用いることは実用的でない。内蔵型は固定ディスクとも呼ばれる。このほか、外付け型や着脱可能なリムーバブル型もある。

PCのOS起動ディスクとしてはハードディスクドライブ (HDD) が主に使われてきたが、フラッシュメモリの低価格化・大容量化に伴い、ソリッドステートドライブ (SSD) の利用も広がっている。オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアをインストールしたり、よく使われるファイルを読み書きしたりする用途には高速なSSDを、バックアップや大容量データの保存にはHDDを利用するなどの使い分けもされる。

HDDはSSDよりも容量あたりの価格が安く、大容量化しやすいことが特徴で、2019年には14TBの製品が、2021年には20TBの製品が発売された[18][19]

メインボード[編集]

歴史的に見ると、集積回路によって多数の素子が集積されるより以前のコンピュータは、中央のプロセッサであるCPUをはじめとする各装置それぞれが筐体などのモジュールになっていて、相互に大量の配線で接続されていた。それが集積回路によって1つの筐体に高密度に実装されるようになると、大量の配線に代わってメインボードと呼ばれる大型の1枚あるいは少ない枚数のプリント基板が使われるようになった。

メインボードの形態としては、バックプレーンなどと呼ばれる相互接続機能のみに特化したものと、マザーボードと呼ばれる各種の機能をまとめてあるものに、おおざっぱには分けることができる。パーソナルコンピュータでは、ほぼ必要な機能が決まっていることからバックプレーンに各種の機能ボードを乗せるよりも、マザーボードに集積してしまったほうが効率的などといった理由で、たいていはマザーボードが使われる。典型的なマザーボードの構成は、システムの中央となるチップセット、UEFIなどのファームウェアが書き込まれたROMあるいはフラッシュメモリ、CPUメインメモリなどの専用のソケットやスロット類(固定の場合もある)、PCIeなど汎用のバスのスロット(ビデオカードには2019年現在はこれが使われることが多い)、その他SATAやUSBなどのためのソケット、オンボードグラフィック機能[注釈 3]、などから成る。

ケースや電源との組合せのための仕様として、ATXMini-ITXなどがある。

拡張カード[編集]

拡張カードは用途に応じてコンピュータを拡張できる。ビデオ(映像)信号をディスプレイに表示するビデオカード、ネットワーク接続用のネットワークカード、音声出力用のサウンドカードなどがある。近年[いつ?]ではいずれの機能もメインボード上に標準で搭載され、ポータブルマシンでは拡張スロット自体がないことも多い。

特にリアルタイムの3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) 処理は負荷が高く、3D CADの利用や3DCGの作成、3Dゲームといった用途にはオンボードGPUやCPU内蔵GPUでは十分な性能を得られないことから、高性能なdGPU (discrete GPU) と専用VRAMを搭載したビデオカードを利用することが多い。DirectX 10世代以降はGPUを汎用計算に利用するGPGPUにも対応しており、科学計算や物理演算、汎用画像処理、動画エンコーディングなどのハードウェアアクセラレーション用途でもビデオカードが効果を発揮する。

デジタル内部オーディオ[編集]

黎明期のPCは、内蔵音源としてビープ音FM音源といった貧弱な音源しか持たなかったが、PCMデータの再生に対応したPCM音源を搭載したサウンドチップが標準的となり、また各種OSにおいてアプリケーションソフトウェアからオーディオデバイスを利用するためのアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) の標準化が進んだことにより、音声や動画の再生が標準的にできるようになっている。

もともとPC内部はノイズの宝庫であり、かつては音質の悪さから敬遠されることもあったが、S/PDIFおよびHDMIのようなデジタル伝送規格やHigh Definition Audio規格の普及など、技術の向上により、一般的な視聴用途であればオーディオ専用機器と比べてもさほど遜色はない機種もある[20]

インターフェイス[編集]

周辺機器(後述)を接続するための差し込み口(ポート、端子)。以前はそれぞれの周辺機器に対応する専用のインターフェイス(レガシーデバイスともいう)が備わっていたが、表示装置イーサネットなどを除き、USBThunderboltIEEE 1394ポートへ集約される傾向にある。

電源ユニット[編集]

交流を直流に変換し、マザーボードやドライブ装置などに電力を供給する。ATX電源などがある。

ケース[編集]

パーソナルコンピュータの主要機器を収納するための箱。デスクトップパソコンでは、縦置きのミニタワー型、ミドルタワー型、フルタワー型などがある。またディスプレイ一体型、省スペース型(スリム型など)などの省スペースパソコンもある。

リムーバブルディスク[編集]

着脱可能なメディアを使用できる外部とのデータ交換用のディスクドライブCDDVDBDなどの光学ドライブが主流だが、かつてはフロッピーディスクドライブや光磁気ディスク(MO)ドライブなどが使われていた。DVDスーパーマルチドライブやBDドライブなど、複数規格のメディアが読み書きできるものが多い。ネットブックスティックパソコン等、ディスクドライブを内蔵していない機種も増えている。

周辺機器[編集]

液晶ディスプレイ(2001年)
2ボタン型ホイールマウス

パーソナルコンピュータの本体に接続する機器であり、データや命令を入力するキーボードなどの入力機器と結果を受け取るためのディスプレイやプリンターなどの出力装置、入力と出力を兼ねる外部ディスクドライブなどの入出力装置に大別される。

ディスプレイ[編集]

コンピュータからの映像信号を受けて表示するための装置。モニターとも呼ばれる。GUI/CUIを利用した視覚的な対話のために必要となる。ノートPCには内蔵されている。デスクトップPC用のディスプレイはテレビ受像機のような形をしており、PC本体とケーブルで接続する。スピーカーやWebカメラを内蔵していたり、TVチューナーを内蔵しているものも存在する。対角15インチ以上のサイズのものが主に使われるが、USBポートに接続する小型のものもある。デスクトップPCのディスプレイは2000年頃まではブラウン管が一般的であったが、2002年以降は液晶ディスプレイが主流となり、2006年までに完全にブラウン管と置き換わった。また、2019年現在では、液晶ディスプレイから有機ELへとシフトする流れが生まれつつある。

キーボード[編集]

コンピュータにコマンド文字を入力するための機器。キー配列は、英語圏では101キーボード(104キーボード)、日本では106キーボード(109キーボード)が主流である。大手メーカー製などは、ショートカットとして特定の機能(電子メール機能、スピーカーの音量調整など)に一発でアクセスできる専用のボタンを追加した物もある。接続はUSBやBluetooth接続が多い。

マウス[編集]

ポインティングデバイスの1つで片手に持って平面上を滑らせ、画面上のポインターを操作するための装置。ボタン類は、現在[いつ?]は上部に2つのボタンとホイールボタンをもつものが主流である。動きの感知方式は当初はボール式であったが、現在[いつ?]は光学式(赤色可視光、レーザー、LEDなど)が主流である。接続方式は、昔は専用ポートを使ったり汎用のシリアルポートを使ったりとまちまちであったが、USB規格が標準化されてUSBポートがPCに標準搭載されるようになると、USBが主流となった。Bluetoothあるいはメーカー独自の無線通信方式によるワイヤレスマウスも普及している。なおマウス以外のポインティングデバイスにはタッチパッドトラックボールもあり、マウスとも併用できる場合が多い。

その他[編集]

スピーカー
PCの音声を出力するための装置。主にステレオが多い。一部サラウンド等あまり一般的ではないスピーカーもある。
マザーボード搭載のオンボードサウンドまたはサウンドカードの端子に接続する。ノートPCでは内蔵されているが、音質が悪い物が多い。
一部の機種ではディスプレイの画面自体から音声を出力するものもある。
プリンター
文書画像などを紙に印刷するための装置。カラーのインクジェットプリンターレーザープリンターが主流である。最近[いつ?]ではパソコンなしでメモリーカードを直接挿入したり、デジタルカメラとUSBケーブルで直接接続したりすることで、メモリカードやカメラ内に保存されている画像や文書を印刷することもできる。イメージスキャナとの複合機になったものもある。
スキャナイメージスキャナ
外部から画像(平面的な写真印刷物)をPC用のデータに変換して取り込むための装置。ポジネガなどのフィルムをスキャンできる機種もある。プリンターに統合された複合機が主流となっており、単独の製品は少ない。
デジタルカメラ
デジタル記録した写真画像データをPC内に取り込む際にUSBケーブルなどで接続される。本体は接続せず、メモリカードを経由して取り込むことも可能。
携帯音楽プレーヤー
インターネット経由でダウンロードしたり、手持ちの音楽CDからリッピングしたりしたデジタル音楽データをPCから転送する際に接続される。
モデム
ダイヤルアップ接続インターネットへ接続する場合に必要な装置。ノートタイプのように本体に内蔵されている場合もある。ISDNを利用する場合はTAが、ADSLの場合はADSLモデムが別途必要になる。
ビデオキャプチャ
ビデオ信号を動画データに変換して取り込む。一般的にはキャプチャーボードを使って録画する物が多い。
チューナー
古くはAM/FMラジオチューナー搭載モデル、次いでアナログTVチューナー搭載モデルが発売されたことがあったが普及をみなかった。日本ではデジタル放送 (TV) チューナーが2008年ごろから普及しはじめ、薄型テレビやHDD/DVD/BDレコーダー等の家電製品と同様に、パソコンで放送を録画、再生するようになっている。
Webカメラ
PCのモニター等に取り付ける小型カメラ。内蔵されるものと外付けのものがある。主にビデオ会議や動画配信などのネットワークストリーミング用途で使用される。

スマートフォン端末やタブレット端末とデータをやり取りしたり、各端末向けのネイティブアプリケーションソフトウェアを開発・デバッグしたりする際に、USBケーブルやLAN経由でPCに接続することもある。

ファームウェア[編集]

パーソナルコンピュータにおけるファームウェアは、主にマザーボードのファームウェア(BIOS/UEFI)を指すことが多い[21]

ソフトウェア[編集]

オペレーティングシステム[編集]

オペレーティングシステム (OS) はコンピュータシステム全体の管理と制御を行ない、ユーザーインターフェイスを提供するシステムソフトウェアの一種である。OSによって標準化・抽象化されたAPIが提供されることで、アプリケーションソフトウェアはハードウェアを直接制御する必要がなくなる。

Windows[編集]

マイクロソフトが提供する独自のオペレーティングシステムで、1990年代よりPC/AT互換機に搭載されるOSの主流となっている。Microsoft Windows 10以降はWindows Subsystem for Linux (WSL) によるLinux互換環境もサポートしている。

macOS[編集]

Appleが提供するUnix系の独自オペレーティングシステムで、GUI操作を基本とするが、UNIX互換のシェルも持つ。

Chrome OS[編集]

Googleが提供するLinux系の独自オペレーティングシステムで、Google Chromeをベースとしたシェルを持つ。Androidとの連携や互換性が優れており、ソフトウェア開発用途などにDebian系のLinuxサブシステム (Crostini) も制限付きながら利用できる[22]

PC-UNIX[編集]

パーソナルコンピュータで稼働するUnix系オペレーティング環境。カーネルとしてオープンソースソフトウェアであるLinuxが使われるようになって普及した。ウィンドウシステムとしてはX Window Systemが標準になっている。

アプリケーションソフトウェア[編集]

オフィス用にはワープロ表計算データベースなどやこれらをパッケージ化したオフィススイートなどがある。ネットワーク用にはWebブラウザE-メールなどがある。また個々の用途ではゲームソフト、各種業務ソフト、オーサリングツールプログラミングツールなどもある。いずれも商用のもの、オープンソースなどライセンスに従えば無償でも利用できるものがある。またオペレーティングシステムに標準で含まれているものもある。

ミドルウェア[編集]

ミドルウェアはOSとアプリケーションとの間に構築されるアプリケーションフレームワークの一種である。アプリケーションの開発を効率化する。

パーソナルコンピュータをめぐる市場[編集]

世界でのパーソナルコンピュータ出荷台数

1990年代前半までのNECのPC-9800シリーズ全盛時代は、おおよそキーコンポーネンツ(主要部品)となるCPU(マイクロプロセッサ)の進化時期に対応した商品サイクルで半年から1年程度の商品サイクルとなっており、NECの新商品発売に少し遅れるタイミングでエプソンが対抗機種をNECより安い価格で発売する状態であったが、Windows 95が本格的に立ち上がり始め多数の日本国外系メーカーが日本に参入を始めた1996年頃から商品サイクルの短期化が進み、モデル末期には希望価格の半額以下で投売りされることも多く生鮮食品に例えられるようになってきた。

現在(2013年5月時点)では各社とも年3回(春・夏・秋冬)の新モデルの発売が定着し無理なシェア争いを回避する方針となって生産量も押さえ気味[注釈 4]にされ、かつてのように旧モデルの在庫品などを安く購入する手法は困難となっている。また、高機能モデルを投入するために進化論で有名なガラパゴス島になぞらえてガラパゴス進化と言われている。[要出典]これに対して台湾系のASUSやACERなどは新興国市場に強く、北米や欧州市場でのニッチユーズが成功しているのに対して、日本メーカーは構造転換が難しく各メーカーの収益性が問われている。

またデルコンピュータゲートウェイなどアメリカ合衆国で実績を伸ばした比較的低価格で直接販売するメーカーの日本への進出(後者は一度撤退後、再進出)もあり、現在(2013年5月時点)では主要メーカーのほとんどが、家電量販店などの店頭やOAディーラなど従来の流通ルートを使った販売と、自社ウェブサイトによる直接販売(需要予測精度の向上の目的もある)の両方を行っている。

PC/AT互換機(DOS/V機)では、マザーボードやCPU、メインメモリやビデオカードなど、各種PCパーツだけの一般販売もされているため、好みのパーツを購入してメーカー製にはないオリジナルのPCを完成させることもできる(いわゆる自作PC)。PCを自作することで、より高性能なPCを構築することができるほか、PCや周辺機器に関する知識を深めることもできる。ただしパーツの相性問題などもあり、メーカー製PCと違って確実に動作するかどうかは保証されない。詳しくは自作パソコンを参照。

主なメーカー[編集]

主なパーソナルコンピュータのメーカーは以下の通りである。大手メーカーの多くはクアンタ・コンピュータコンパル・エレクトロニクスなどの台湾に本社を置く受託製造メーカーにOEM生産を委託しており、ノートパソコンに至っては世界の年間生産台数の約9割を台湾企業が手掛けている。

国・地域名 現存する主なPCメーカー かつて存在した主なPCメーカー
アメリカ Amazon.com
Google
Microsoft
Apple
HP
デル
エバレックス
インテル
アジレント・テクノロジー
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ
クレイ
コモドール(破産)
タンディ・ラジオシャック(撤退)
アタリ(撤退)
IBM(PC部門をレノボに売却し撤退)
コンパック(HPに吸収合併されブランド名として存続)
DEC(コンパックに買収)
ASTリサーチサムスンに買収)
イーマシーンズ(ゲートウェイに買収)
ゲートウェイ(エイサーに買収されブランド名として存続)
パッカードベル(NEC傘下を経てエイサーに買収)
ユニシス(撤退)
ベル&ハウエル(撤退)
日本 NECパーソナルコンピュータ
富士通クライアントコンピューティング
Dynabook東芝シャープ[注釈 5]
VAIO[24]
パナソニック
エプソンダイレクト
オンキヨー
MCJ
サードウェーブ
ロジテック(企業向けのみ)
日本デジタル研究所(会計業務用のみ)
アキア(廃業)
セイコーエプソン(エプソンダイレクトに集約)
セガ(撤退)
ソード(東芝に業務売却)
三洋電機(撤退)
トミー(撤退)
バンダイ(撤退)
プロサイド(撤退)
沖電気工業(撤退)
ソニー(VAIOに事業譲渡[24]
旧・アイワ(ソニーに吸収合併、一時期PC/AT互換機を製造販売)[注釈 6]
カシオ計算機(撤退)
キヤノン(撤退)
京セラ(撤退)
高木産業(撤退)
日本ビクター(撤退)
ソーテック(オンキヨーに買収、後にブランド廃止)
工人舎(オンキヨーにPC事業統合し、工人舎ブランドは撤退)
日立製作所(一般向けは撤退しセキュリティ用に特化するも現在は終了)
KOUZIRO(解散しインバースネットのブランド名として存続)
パイオニア(一時期Macintosh互換機を製造販売)
三菱電機(撤退)
東芝(2018年10月1日にシャープへ事業譲渡→Dynabook)
三井物産デジタル(撤退)
台湾 エイサー
ASUS
MSI
クアンタ・コンピュータ
AOpen
BenQ
Biostar
コンパル・エレクトロニクス
エリートグループコンピューター・システムズ
ASRock
マイタック(モバイル用に特化し一般向けは撤退)
UMAX(撤退)
中国 レノボ
方正
清華同方
ハイアール
シャオミ
ZOTAC
Aigo
韓国 サムスン電子
LGエレクトロニクス
トライジェム
ヨーロッパ Aleutia
CMS Computers
Bull
グルンディッヒ
IGEL
Tプラットフォーム
Wortmann
シンクレア(撤退)
アムストラッド(撤退)
ICL(撤退)
オリベッティ(PC部門を売却し撤退)
エイコーン(PC部門を廃止し解体)
ノキア(撤退)
その他 Razer
AXIOO
グラディエンテ
Itautec
Lanix

上記以外にもパソコンの製造メーカーはPCをベースとした専用機器やシステム販売、あるいは小規模なPCショップを含め多数存在するが、パソコンの内部に使われている部品は限られた企業が生産している。

  • CPUはx86アーキテクチャにおいては2015年時点でインテルが87.7%を占め、AMDが12.1%を占める[25]。ただし、2010年代に入ってから小型デバイスなどの組み込み向けを中心にARMアーキテクチャが台頭してきており、x86アーキテクチャだけで一概に推し量ることはできない[26]
  • GPUは2015年第3四半期時点でデスクトップ向けのビデオカード製品ではNVIDIAが81.1%、AMD(旧・ATI)が18.8%を占め、Matroxが1%未満となっている。チップセットやノートパソコンなどのモバイル向けGPUを含む総合ではインテルが72.8%、NVIDIAが15.7%、AMDが11.5%を占める[27]
  • メモリサムスン電子が4割、SKハイニックス(旧・現代電子)が3割、マイクロン・テクノロジが2割を占める[28]

市場シェア[編集]

世界市場(各1〜12月、台数ベース、IDC調査)
2019年[29]
メーカー %
1 レノボ 21.3
2 HP Inc. 20.9
3 Dell 15.7
4 ASUS 7.4
5 Apple 7.1
6〜 その他 27.7
日本市場(各1〜12月、出荷台数ベース、IDC調査)
2019年[30]
メーカー %
1 NEC 25.4
2 富士通 19.0
3 HP Inc. 12.4
4 Dell 12.1
5 Dynabook 11.1
6〜 その他 20.0

電子ごみ問題とリサイクル[編集]

リサイクルのため集められたデスクトップパソコン

国連大学の「電子廃棄物問題を解決するイニシアチブ」によると、年間当たりの電気・電子機器廃棄物の発生量は、全世界で約4880万トン(2014年)と推計されている[31]

アメリカ[編集]

国連大学の「電子廃棄物問題を解決するイニシアチブ」によると、米国の年間当たりの電気・電子機器廃棄物の発生量は約720万トン(2014年)と推計されている[31]

中国[編集]

国連大学の「電子廃棄物問題を解決するイニシアチブ」によると、中国の年間当たりの電気・電子機器廃棄物の発生量は約610万トン(2014年)と推計されている[31]

広東省汕頭市貴嶼では約13万人の住民のうち約8万人が電子ごみのリサイクル産業に従事しているが(2012年地元統計)、2014年の汕頭大学医学院の研究チームの調査報告書では重金属類による大気汚染や水質汚染が深刻になっているとしている[31]

日本[編集]

半導体素子製造プロセスの急速な高度化(この様子はムーアの法則などと表現される)の恩恵を受けてより高速・高機能なCPUを用いた製品が市場に投入され、そうした最新版のハードウェアに対応したソフトウェアが普及するにつれ旧型製品の買い替えサイクルは短くなる。そのため廃棄されるPCの台数が増加しており、資源の有効活用や環境保護の面から問題点が指摘されるようになった。そのため家庭電化製品と同様に「資源の有効な利用の促進に関する法律」の適用を受けることになり、メーカーによる回収・リサイクルが制度化された。

これを受け2001年4月1日から企業個人事業者2003年10月1日から家庭用で不要となったパソコン本体(付属のキーボード・マウス・スピーカー・ケーブル類、単独の外部ディスプレイ含む。付属マニュアルやメディア、プリンターなどの周辺機器は除く)は各製品のメーカーが回収し、素材レベルに分解し資源として再利用される(中古品としての流用や部品取りは原則として行われない)。

「PCリサイクルマーク」がついた家庭用PCは販売価格に回収処分の手数料が含まれているためリサイクルの費用は不要であるが、マークのついていない製品は新たに「回収再資源化料金」を負担する必要がある。自作PCやメーカーのパソコン事業撤退[注釈 7]・倒産した場合は、一般社団法人パソコン3R推進協会[32]が有償で回収を行う。この制度を受けて、自治体などではPCの粗大ごみ収集・処分を行わないところが多い[注釈 8]

事業用のパソコンについては別途メーカーによる回収・リサイクル体制が整えられているが、産業廃棄物として処理される場合もある。

そのほか従来から中古PC市場が形成されておりPC活用のノウハウを持った上級ユーザーを中心に再利用されてきたが、中古品の品質保証や付属ソフトウェアのライセンス譲渡の点で不安を抱く購買者もいた。こうした市場、および環境問題への配慮していることのアピール、顧客満足度向上などをはかるため下取りした自社製PCを再生して「Refreshed PC」などとして中古販売ルートで販売するメーカーも出現した。[独自研究?]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 日本独自の略語である。(著書『インターネットの秘密』より) [要文献特定詳細情報]
  2. ^ ただし「PC」という略称は、特にPC/AT互換機を指す場合もある。「Mac対PC」のような用法。
  3. ^ かつてはマザーボード上に、カジュアルな用途では必要十分な性能を持つグラフィックスプロセッサ (GPU) を搭載していることが多かったが、Intel Core iシリーズやAMD APUなどのGPUを内蔵したCPUが主流となってからは、マザーボードがGPUを搭載することは少なくなり、以後の世代ではそれらのCPUが内蔵しているGPUのための周辺回路などが「オンボードグラフィック機能」となっている。
  4. ^ 機種によっては1カ月程度で生産完了の場合もある。Qosmio Gシリーズなど。
  5. ^ シャープにとってはMebius以来の再参入となった[23]
  6. ^ 2017年ブランド復活。
  7. ^ 例えば高木産業(現パーパス)はかつて「PURPOSE」ブランドでパソコンを販売していたが、2003年頃に撤退している。PURPOSEパソコンの廃棄について [リンク切れ]
  8. ^ コンパック製品については、合併したヒューレット・パッカードで回収を行っている。2001年に一度日本から撤退したゲートウェイ製品については、再進出後の現日本法人で回収を行っている。

出典[編集]

  1. ^ [1]
  2. ^ a b c 小項目事典, ブリタニカ国際大百科事典. “パーソナル・コンピュータとは” (日本語). コトバンク. 2021年1月10日閲覧。
  3. ^ [2]
  4. ^ 『マイ・コンピュータ入門 - コンピュータはあなたにもつくれる』 pp.78-118、 「第三章 マイ・コンピュータのつくり方」
  5. ^ 小林紀興「東芝の奇襲で日本電気が受けた深傷」、光文社、1990年、128頁。
  6. ^ 『日本経済新聞』 1990年7月31日朝刊、23面。
  7. ^ 塩田紳二「国産銘機列伝 : History 「そして、世界標準がやって来た」」『ASCII』第22巻第8号、アスキー、1998年、 378-379頁、 ISSN 03865428
  8. ^ 「パソコン業界のあの事件を追え!:オフィスとパーソナルコンピュータ」『ASCII』第30巻第8号、アスキー、2006年、 74-75頁。
  9. ^ インターネットの歴史概要<通信の歴史<歴史<木暮仁”. 木暮仁. 2016年11月8日閲覧。
  10. ^ 佐藤岳大 (2016年5月17日). “2015年度国内PC出荷台数、前年比21.4%減で1,000万台を割る結果に”. PC Watch. https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/757813.html 2017年10月30日閲覧。 
  11. ^ “スマホに押され…PC国内出荷が1千万台割れ”. 読売新聞. (2015年4月23日). オリジナルの2015年5月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150505061038/http://www.yomiuri.co.jp/it/20150423-OYT1T50119.html 
  12. ^ 20代のノートPC利用者は約4割、デスクトップPCだと2割以下に【プラネット調べ】 | Web担当者Forum
  13. ^ デジタル大辞泉
  14. ^ https://www.merriam-webster.com/dictionary/lap#:~:text=Definition%20of%20lap,of%20a%20coat%20or%20dress
  15. ^ NEC 直販サイト
  16. ^ Dell 直販サイト(日本人向けの画面には「ノート」と記載されている。だがウェブサイトのurlの末尾は「laptops」となっている。つまり全く同じものを、日本人向けには「ノート」と呼び、英語圏では「laptop」と呼んでいる)
  17. ^ Intel Core i7 1195G7 vs Apple M1 ProNanoReview.net
  18. ^ Digitalの14TB HDDが発売、データセンター向けの「Ultrastar DC HC530」 - AKIBA PC Hotline!
  19. ^ 過去最大の20TB HDDが12月17日に発売、SeagateのNAS向け「IronWolf Pro」 - AKIBA PC Hotline!
  20. ^ 【藤本健のDigital Audio Laboratory】「パソコンの音が悪い」は当たり前? オーディオ出力性能を数値で比較-AV Watch
  21. ^ ファームウェアとは?ファームウェアアップデート(更新)方法や注意点をご紹介|ドスパラ通販【公式】
  22. ^ Chromebook で Linux をセットアップする - Chromebook ヘルプ
  23. ^ シャープ、パソコン事業再参入へ 東芝から買収する方針:朝日新聞デジタル
  24. ^ a b PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について - ソニー ニュースリリース
  25. ^ How AMD is resurrecting itself as a formidable rival to Intel - PCWorld”. IDG Consumer (2016年4月22日). 2016年11月13日閲覧。
  26. ^ AMD reveals roadmap for ARM and x86 SoCs”. Rick Lehrbaum (2013年9月9日). 2016年11月13日閲覧。
  27. ^ Hassan Mujtaba (2015年11月17日). “GPU Market Share Results For Q3 2015 - AMD and NVIDIA See Increased AIB GPU Shipments as PC Gaming Market Grows”. WCCF PTE LTD.. 2016年11月13日閲覧。
  28. ^ Samsung’s Market Share Is Expected to Increase in Fiscal 2016”. Market Realist (2015年12月9日). 2016年11月13日閲覧。
  29. ^ Gartner Says Worldwide PC Shipments Grew 2.3% in 4Q19 and 0.6% for the Year
  30. ^ 2019年のPC国内出荷は前年比45.7%増の活況 IDC調べ
  31. ^ a b c d 中国「リサイクル産業の都」が払う電子ごみ処理の代償 AFP 2014年10月29日
  32. ^ https://www.pc3r.jp/index.html

関連項目[編集]

外部リンク[編集]